AWA、LINE MUSIC、と続き、7月に入ってApple Musicもスタートし、日本においてもサブスクリプション型音楽サービス(定額制音楽聴き放題サービス)が本格的に認知を強め、人々の音楽リスニングスタイルに大きく影響を出し始めた。
その良し悪しを横に置いておいたとしても、環境の大きな変わり目であることは間違いなく、現行音楽ショップ経営者や音楽家にとっては、状況の変化に対応(もしくは対抗)すべく工夫しながら自らの方法論も変えていかなければならない事件であるといえる。

今は特にそれらのストリーミングサービスは無料トライアル期間であるから、皆がそちらに向かえば向かう程、たった今この瞬間、各ショップの閑古鳥の鳴き声は大きく響くので、今日にしてすでに大問題。
ここ数ヶ月間の弊社の通販注文の冷え込み具合とも関係が無い訳もなく。

その状況に挑戦する というつもりで急遽、販売用の新作mixtapeを作った。
作り手本人が本心から聴きたいミックスを形にする というテーマで。

suppa micro mixシリーズは最初の3作以外はずっと、個人オーダーに応えたものやショップのBGM用に作ったものだから完全な自由制作は2年半ぶり。

最近はDJをする機会が多く、その準備としても常にアンテナを立て、色々な音楽を探索し発掘しているが、ゆっくり自分が聴きたい音楽を聴き返すということをしばらくしていないと、自分が本当に興味があって心が欲っしている音楽がどんなものであるかわからなくなるもので、結果、自由時間の中では無音を選択することが多い。
無音は作業や考え事が捗るし、何より「時間の浪費」という残念な心地から距離をおきやすくていい。
今朝などは雨音も激しく、雨音が最高なBGS (バックグラウンドサウンド) だった。
でも、そればかりでは寂しさも募り、なにか自分に滋養を与えてくれる音がほしい。
だけど興味はバラバラに分散していて、いちいちあっちゃこっちゃから集めることを考えると億劫になってしまう。
定番のよく知ってる愛着の強い音楽というのは耳にタコができてるようなものでBGMにしてしまうと余計に擦り切れていく錯覚に陥るという悲しみもあって無闇にはかけられない。
自分の欲求を観察し、今自分が家で流していたいようなミックスとしてどんなものがいいのか?

と自問した末、
『 "フレッシュでいて謎のある" 余剰の多い曲 を自然なカットインで繋いだミックス』
という答えを出し、それを編み始めた。


今までと同じ見せ方、売り方では未来は暗いので、微細ながらも新手法も取り入れた。
まず40分間のミックスを作り(↓読みながら聴いてください)、それを『B面』と称してMixcloudにまるまる公開す。

https://www.mixcloud.com/suppamicropamchopp/suppa-micro-mix-27-second-half-only/

その後、客観的に何度も聴いた上で、違和感を感じた部分を手直しする(ネット版と実物の差別化がされるからそれはイイコト)。
次に、前半部分になる『A面』の40分間のミックスを作る。
そうすると、別々の色々な年代の様々な音を組み合わせる事自体がそもそも時空を越えた遊びであるのに、更に多角的に層が増し、意外性が巡り巡って潜在的に辿り着きたかった地平をワープして垣間みれちゃった といったような感じになってとても興味深い結果になる。
これがアニメーションだったら、原画の動きの結末の絵を先に描き、次に動きの頭の原画を描き、そしてスムーズな辻褄な動きとなるような動画を書き加え埋めていく というようなプロセス。

今までは1時間のmixtapeを区切りもなく1トラックデータにしていたが、オーディオで聴く場合には早送りや巻き戻しが大変で、ずっと不便だなと思っていた。
カセットテープやアナログレコードのようにA面とB面に表裏の世界観の区別がつけられたフォーマットは、手間を挟むことによって気持ちも切り替えられるところが秀逸だ。CDRには裏返す手間など不要ではあるが、今後は2トラックに分けて収録してmixtapeCDRを売ろうと思う。
心なしか楽しい気分にもなれるだろう。

そして完成したA面を聴きかえすと明らかに、これは一気に時間軸順に作ってたら絶対にこの選曲はしなかった・こういうムードは作れなかった というものになっていた。
前半も公開したいがそれも公開してしまったら買ってくれる人が減るし、買ってくれた人が後から「なんだ、全編ネットで聴けたのか...」とがっかりしないように、超短縮カットアップ編集した5分ヴァージョンをまた本編の編集と同じくらい時間をかけて編集し、今度はsoundcloudにアップ↓

https://soundcloud.com/recordmizukoshi/suppa-micro-mix-27-a-sideshortened-version 

カットアップverの試聴版というのも本当は抵抗がある。実際のゆるやかな流れとわけのわからないカットアップ感は受ける印象が完全に別物であるから、こういうせせこましやかな内容だときっと誤解されやすい。まあしかし、そのエディット感覚もレコード水越の売りで、その感覚を見込んで別の仕事をくれる件も多いのでこれはこれ。
mix 27
ジャケットも新趣向。
コラージュではなく、自分で絵を描いた。ヘタながらも。
曲目やアーティスト名も割と(完璧ではない)正確にリストアップ。
James P. Johnsonが4連チャンで繋いであったり、他にもLuckey Robertsを2曲使っていて今回のミックスはラグタイム色が強く、懐古モード?と捉えられるかもしれないけど、それぞれの曲はとんでもなくフレッシュで、ある意味未来に再発見されることを待っているかのような新しさを僕は感じる。
ラグタイムって想像の範疇のことしか起きないかと思いきや、それは完全に偏見でした。
元祖スライドピアニストであるジェームス・P・ジョンソンの演奏のニュアンスは驚きの連続です。

音楽に"本物"と"偽物"があるとは言いたくないけれど、世間一般に共有される各ジャンルの曲想のイメージっていうのは皆、形骸化されたものでしかなくて、どんなジャンルのどんな形式でも、フレッシュなフィーリングさえあれば、形からこぼれて時代や個人の好みを超えて迫ってくるものだなあ、とつくづく思います。
古かろうが新しかろうが時代に埋もれないものを見つけたいし作り出したい。
それを独自の視点・オルタナティブコアな立場から行うことがレコード水越及びスッパの仕事であろう。
新作ミックステープはそういう点でも満足いくものができたかなと思う。
前半もじっくりと聴いてほしいのでmixの注文お待ちしてます! suppasuppa@gmail.com まで

今後とも応援をよろしくお願いします。
世の中の流れと大いに格闘しながらもこれからも負けじと工夫してがんばっていきます。
私が提示し得る価値に自信を持ちつつ、自問自答も忘れず。